Agent Workspace
AIエージェントの人格、記憶、能力をファイルシステムで管理する設計パターン。エージェントの「人格」「記憶」「能力」をコード化し、バージョン管理できるようにする。
構成要素
典型的なAgent Workspaceの構造(moltbotの例):
~/molt/
├── AGENTS.md # エージェントの動作ルール
├── SOUL.md # パーソナリティ、トーン
├── USER.md # ユーザー情報
├── TOOLS.md # ローカルツールのメモ
├── IDENTITY.md # エージェント名、キャラクター
├── memory/ # 永続メモリ
│ ├── 2026-01-20.md
│ ├── 2026-01-21.md
│ └── 2026-01-22.md
└── skills/ # カスタムスキル
├── planning-workflow/
└── ui-ux-polish/
各ファイルの役割
SOUL.md(人格)
エージェントの振る舞いを定義する。
- 対話のトーン(フレンドリー、フォーマル、簡潔など)
- 行動の境界(やってはいけないこと)
- 判断基準(何を優先するか)
このファイルを編集することで、エージェントの「性格」を変更できる。
USER.md(ユーザー情報)
- ユーザーの好み
- 呼び方の好み
- プロジェクト情報
- 連絡先
AGENTS.md(動作ルール)
- メモリ使用のガイドライン
- いつ永続メモリに記録するか
- いつユーザーに確認を求めるか
memory/(記憶)
永続メモリの実体。日次ファイルに会話や学習内容を記録。
skills/(能力)
Workspace Skillsと呼ばれるユーザー専用スキル。Markdownファイルを置くだけで追加できる。
バージョン管理
Agent Workspace全体をGitリポジトリにすることで:
cd ~/molt
git init
git add .
git commit -m "Initial agent configuration"
利点
- 巻き戻し:
git revertでエージェントの学習を取り消し - 差分確認:
git diffで何が変わったか確認 - ブランチ実験: 異なる人格や設定を試す
- 履歴管理: エージェントがどう進化したか追跡
これは「AIの学習を人間がコントロールできる」という点で画期的。
カスタマイズの層
レイヤー1: 人格の調整
SOUL.mdを編集してエージェントの振る舞いを変える。
例:
- 「簡潔に答える」→「詳しく説明する」
- 「質問して確認する」→「自分で判断して実行する」
レイヤー2: スキルの追加
skills/にMarkdownファイルを追加して能力を拡張。
例: skills/planning-workflow/SKILL.md に「85%の時間を計画に使う」という方法論を記述すると、エージェントがその手法に従うようになる。
レイヤー3: メモリの編集
memory/を直接編集して、エージェントの記憶を修正。
例: 誤った学習をした場合、該当する日のファイルを修正。
自己増殖AIエージェントとの関係
Agent Workspaceは、自己増殖AIエージェントがself-hackable(自己修正可能)であるための基盤。エージェントは自分のWorkspaceファイルを読み書きすることで、自分自身を拡張できる。
実例: あるmoltbotが、自分のTOOLS.mdを参照して認証方法を理解し、別のツール用の認証機能を自分で追加した。
実装例
moltbot
完全なAgent Workspaceを実装。SOUL.md、memory/、skills/など全てを備える。
Claude Code
.claude/CLAUDE.mdでルール定義。これは簡易版のAgent Workspace。
Cursor
.cursor/rules.mdでプロジェクト固有のルール定義。
設計思想
「エージェントの設定をコードとして扱う」という Infrastructure as Code の思想に類似。設定をファイル化することで:
- バージョン管理可能
- チーム間で共有可能
- 差分レビュー可能
- 自動テスト可能